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多くの歯周病は、歯の根の囲りの骨が溶ける病気です。そして、溶けてしまった骨は、殆んど元に戻りません。さらに、多くの骨が溶けてしまうと、歯は機能を失ってしまい、口の中にとどめておくことができなくなってしまいます。
尚、歯周病により骨が溶ける速度は、決して一定でありません。とくに、骨が早い速度で溶ける場合は注意が必要です。また、比較的若年層に早い速度で骨を失う歯周病のタイプがあります。そして、骨の溶ける量が増すと、治療が大変むずかしくなります。
 そこで、いま歯の根の囲りで起こっている病的な変化は、歯肉と歯に症状としてあらわれますので以下に説明します。是非参考にして下さい。
「歯周病は早期に発見し早期に治療することにより、いつまでも楽しい食生活を営めるようになりました。」
 
1.歯肉の腫れ

歯肉の腫れには、全体的に赤く腫れ歯をみがくときに出血する場合と、一本の歯の囲りだけプクンと腫れるときがあります。
とくに、注意が必要なのは、後者のプクンと腫れる症状のときです。骨が溶ける直接の原因は、歯垢・歯石などの細菌です。この細菌が歯と歯肉の境目から歯の根の先の方に向かって侵入し、骨を溶かしながら歯肉が腫れるわけです。このような症状があらわれたときは、骨が急速に溶けている最中です。この歯肉の腫れが度々繰り返すことで殆どの骨が失われてしまいます。また、腫れは一夜にしてあらわれ、そして痛みを伴います。
ということは、早い時期に歯垢・歯石を完全に取り除くことが必須であり、またこのような症状は、早期に治療することで、骨の再生が期待できます。
「このような症状は、すぐ治療することで元にまどります。」
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2.若年者の歯周病の特徴
若年者にみられる歯周病で、とくに数か所の歯の根の囲りの骨が溶ける特種なタイプがあります。私の臨床経験からすると、20歳前後から30歳中頃にあらわれ、そして骨が溶けている数ヶ所以外の歯は殆ど正常、もしくは軽度です。とくに、注目したいのは、数ヶ所の骨が急速に溶けてしまうことです。そして、多くの骨を失うと元にもどすことは困難です。骨が溶ける歯は第一大臼歯と前歯、とくに中切歯です。また第二小臼歯にもあらわれることがあります。
症状は歯肉が腫れたり、歯肉が収縮したり、歯肉の色が変わったり、歯みがきのときに出血したり、或いは噛んだとき頼りがないように感じたり、口臭があったり、さらに歯肉を指で押すと血やうみが出たり、そして多くの骨が溶けると歯が動くなど、様々な変化が起こります。このような症状は若年者にみられる特種な歯周病と考えられますので、早い時期に歯周病専門医で検査されることをすすめます。
「比較的若年層の方は、今後歯の必要な時期が長いということを考えてみましょう」
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3.中・高齢者の歯周病
中・高齢者の歯周病は、若年者と比べ病状の進行は比較的ゆっくり進みます。そして、歯周病の初発時期は、若い年齢層から高年齢層まで年代に関係なく発症します。このタイプの歯周病は殆んど痛みや不快などの症状がないまま進行します。そして、重症になり、何らかの症状が認められ、はじめて歯周病に罹ったことに気づくようです。そして、とくに大事なことは、重症になる前、即ち治療の効果が期待できる時期に気づくことです。 その理由は、このタイプの歯周病はかなり進んだ病状であっても適切な治療を行うことで、好ましい治療結果が得られ易く、そして望ましい管理を行うことで良好な予後が期待できるからです。
歯周病が中度から重症になると歯の根の囲りの骨がかなり溶けてしまいます。そのため、歯が動くようになったり或は歯の位置が変わってしまい、しいては上下の歯の噛み合わせの不調和を来たしてしまいます。そして、このかみ合わせの不調和は、歯の根の囲りの骨を溶かす原因の一つとなります。
歯周病により骨が溶ける殆どの原因は歯垢、歯石などの細菌であり、これを炎症性因子といいます。さらに噛み合わせの不調和も骨を溶かす因子であり、これを外傷性因子といいます。この炎症性因子と外傷性因子が共同で加担すると、骨の溶ける速度が早まります。即ちこのような状況を放置すると歯周病は急速に重症へと進んでしまいます。
このように、ゆっくり骨が溶ける歯周病のタイプであっても、出来る限り早い時期に察知し、そして治療することにより、望ましい治療結果が得られることは言うまでもありません。そして、適切な対応策を講じることで比較的良好な治療結果が得られ易く、さらに適切な管理を行うことで良好な予後が期待できます。
  歯周病の治療に対する私の信念  
歯周病治療とは、歯科学の一分野であり、とくにお口全体を一つの器官として扱う歯科学です。即ち、一本の歯を単位として治療の成否を決定するのではなく、お口を一単位の複合体として健康を確立し、そして長期にわたり健康を維持できるか否かで治療の良否が決まるわけです。
例えば、重症の歯が一本ないし数本存在し、どうしても抜かなければならないような場合に、もし一本ないし数本抜いたとしても、残っている歯を基礎に噛む機能を再構築し、そして長い間楽しい食生活が営みつづけられたとしたら、その時点で一本ないし数本抜いたことに意味があると考えています。
いわゆる歯周病治療の成功とは、治療後お口をしっかり管理することで長期にわたり健康な状態を維持されたとしたら、その時点で評価されるものであるという信念をもっています。
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4.歯の動き

歯の根の囲りの骨が少しづつ溶け、年月、或いは日の経過とともに、とどまることなく溶けつづけます。そして歯を支えられなくなるころには、食物が噛みづらくなり、いずれは自然に抜け落ちるか、または抜かなければならなくなってしまいます。また、歯の動きは、はじめは横に動くようになり、次に歯の根の先に向かって縦に動くようになると重症といえます。
歯の動きを調べるには、歯を親指と人指し指ではさんで動かしてみると解ります。もし、少しでも動くようであれば、骨が溶けだしているわけです。僅かでも動くようであれば歯周病は中等度と思われます。歯周病は軽度から中等度であれば比較的簡単な治療で治ります。
「歯の動きは少ないうちに治療することが歯の長期間の健康維持につながり、また動きが強い場合でも溶けた骨の形により治ります。」
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5.症状がないから安心?

多くの歯周病は骨が溶ける病気であり、そして、直接の原因は歯垢・歯石などの細菌が歯の根の先の方へ向って繁殖しながら侵入し、骨を溶かすことはすでに述べました。
このように骨が溶け続けている最中であっても、痛みや、かゆみなどの症状は全くありません。そのため、昔は歯周病を沈黙の病気と呼んでいました。そして、多くの骨が溶けると歯は動くようになり、そこで始めて噛みずらくなったり、或は痛みを感じるようになります。このような症状が起こっているということは、歯周病がかなり進んでいることを意味します。
このような場合、とくに注意したいことは、骨を溶かし続けている歯垢・歯石が隣の健康な歯の根に移動し、そして繁殖しながら、骨を溶かしはじめるということです。このように歯垢・歯石が周囲の歯の根に移動することで多くの歯が歯周病に罹ってしまうわけです。
厚生省の調査によれば、日本人の約80%が歯周病にかかっているという報告があります。しかし、歯周病はかなり進んでから症状がでることから、この約80%のうち、多くは気がつかないのが現状のように思います。
「歯周病は症状がなくても、まず検査し、もし健康であれば『安心』という贈り物をいただきましょう」
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6.歯周病の症状を見る
1) 軽度な歯周病の症状
歯周病は軽いうちは、殆ど症状はありませんが、注意深く見ると解ります。健康な歯肉は、歯と歯肉の境目がなだらかに移行し(段差がない)歯肉全体がほぼ同じ色(できればピンク色に近い)をしていますので参考にしましょう。
(1) 歯と歯肉の境目の歯肉(辺縁歯肉)が少し赤く腫れている。(炎症を起こしている)
(2) 歯みがきのときと、つまようじを使うとき、或は硬い食物を噛んだとき出血する。
(3) 冷たい飲み物や食物にしみる。
(4) 僅か口臭がある(舌にたまった歯垢が原因のときもある)
(5) 歯肉が少しちぢんでいる(収縮)
  (この症状は、以前に歯周病の治療を経験した場合、或いは歯肉の量が先天的に薄い(少ない)場合に、歯ブラシの圧が強すぎると起こる。)
2) 中度の歯周病の症状
 この時期は、食生活にはさほど支障がないので気付きづらいようですが、以前の健康な時期とはかなり異なっているはずです。健康なときと比較しながら調べてみましょう。この中度の歯周病は、適切な治療により健康を獲得でき、そして長期にわたり食生活を楽しめます。
(1) 歯肉に炎症があり、また歯肉の形も以前とは違ってきた。
  (歯みがき時に出血がある)
(2) 歯石が眼ではっきり確認できる
(歯垢、歯石が歯の根の中に入り込み見えない場合もある)
(3) 口臭がある
(口臭はご自身では解らないことが多い。口臭を教えてもらえる方は、ご自身に最も近い方、例えばご夫妻、親子などですが、この場合尋ねる相手も口臭があると判断できません。今は、簡単に口臭の検査ができます。)
(4) 歯の動きを感じだした
(歯の根の周りの骨が溶けだしたため、歯の動きを感じるわけであり、ご自身は実際の動きより少なく感じるようである。歯の動きの調べ方は、3、歯の動きの章を参考にして下さい。)
(5) 噛んだとき違和感、痛みを感じる
(噛んだとき上下の歯のあたり方が以前と違ってきたように感じる。また食べ物を噛んだとき噛みづらい、頼りないなどの違和感、さらに硬い食べ物を噛むと重いような痛みを伴う。)
(6) 歯の位置が変わってきた
(例えば歯と歯の間に隙間ができた。また歯が少し横に傾いたように思う。この症状の原因は、骨が少なくなり同時に上下の歯の咬み合わせの不調和などである。他にも要因はあるでしょう。
3) 重症な歯周病の症状
 重症な歯周病の症状は、中度の症状がより悪化した状態です。
(1) 歯肉の炎症が極めて強い
(歯を磨くと出血があるので、あまり歯を磨きたくない。)
(2) 強い口臭がある
(患者さんはご自身で気付いてはいるが、あまり気にしていない患者さんもいる。それは、長い間、口臭に慣れてしまっているのかもしれない。)
(3) 歯の強い動きと歯の位置移動による食事への支障
(歯が大きく動いているため、そして上下の歯の噛み合わせの不調和が生じ、食事が困難となっていることが多い)
(4) 会話の支障
(歯の位置が変わり、とくに歯が伸び、そして前方に出てしまったために審美性を失い、かつ会話に支障をきたすことが多い。)
「要」:重症な歯周病でやむをえず歯を抜かなければならない場合は、歯を抜いた日に入れ歯を入れるべきと考えています。
( ・・・入れ歯の・・・を参考にして下さい)
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7.審美性の喪失
 歯周病により審美性を失っていることもあれば、むし歯の詰め物や前歯のセラミックのかぶせ物などの不備などが原因のときもあります。
 審美性を失っているような場合、歯周病であろうとなかろうと、美しい歯にすることを最優先すべきと考えています。その理由は、人はより美しくなりたい、そして、より美しくありたいと願うのは人間本来の願望だからです。もし、それが歯周病に関与しているとしても、まず審美性の回復に務め、例え仮の歯であったとしても、ご自身がきれいになったと満足されるように対応したいと考えています。
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