目白若林歯科

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Philosophy

入れ歯の患者学

 歯科医師となって40数年、歯科医学の進歩は著しく、とくに近年外科手術で切る、貼るから移植、そして骨の再生までできるようになりました。
しかしながら、最新治療に目がいきすぎ、いままでの何十年もの間つちかわれてきた古き良き治療を過去の産物のように軽く視てはならないように思う昨今です。
このように、いま注目されている骨や歯肉の再生治療は、実際の私の臨床からすると全体の数%です。その他の殆んどの治療は、長い長い年月を経て育くまれてきた従来の治療であって、その多くは手術を必要としない治療です。このような治療であっても、治療する目的は十分に達成されています。
さらに医療とは、人と人との関わりのもとに存在する職業です。ということは、人への温かい思いやりがあって始めて成り立つものと理解しています。

Cause

歯を失う原因

 歯を失う最も多い原因は、歯周病虫歯です。
その他の歯を失う原因としては、事故や矯正歯科の治療において抜歯をするケースがあります。特に50才代になると80%強の方は歯周病によって歯を失っています。虫歯ですべての歯を失ってしますことは稀ですから、総入れ歯の方は大部分が歯周病によるものです。

歯周病は骨を失う病気で虫歯は歯を失う病気です

 虫歯で歯を失った場合には入れ歯を入れるための歯槽堤はしっかりしていますが、歯周病で骨を失った歯槽堤はどうしてもやせ細ってしまいます。そこで入れ歯を入れる前に造骨ということも考えられますが、入れ歯を噛んだことによって造骨された部分は変形しやすくなります。

そのように歯周病で歯を失うと骨が溶けて土台が弱くなっているわけですから、よい入れ歯を作ることも困難になります。また、歯周病の場合は、1本だけでなく数本またはすべての歯が歯周病になっている場合もあります。気づかないうちに歯周病になって歯を失わないように早めに検診を受けて、お口の中の健康を維持しましょう。

歯を失わないためにどうしたらよいか

 日本は、人口の3分の2が65歳以上という高齢化社会をむかえつつあります。それに伴い、国民が歯を失う確率も高くなることが予想されます。私の臨床実験として、歯を失った数が少ない人は健康な生活を営み、反対に歯を失った数の多い人は、残念ながら不健康な生活を送ることを余儀なくされているように感じられます。このことからも、健康な人生を過ごす上で歯が大切であることがおわかりいただけると思います。

 

歯はものを噛むことにより消化を助けるだけでなく、顎、顔の骨や筋肉の発達と維持のために必要な組織です。そして食事をすることは、毎日の生活、プライベートやビジネスの場でも欠かすことのできない習慣です。さらに高齢者にとっては、食べることは大きな生き甲斐のひとつとなっています。


食べる、噛むということは人間の生まれついてからの本能です。物を噛みたいという欲求を咀嚼欲といいますが、その咀嚼欲を失ったとしたら生体にどのような影響が及ぶでしょうか。生体を維持することは、栄養十分な親指大の丸薬と濃縮ジュースで可能であると言われています。しかしそれだけでは人間本来の願望である「物を噛みたい」「美味しく味わいたい」そして「満腹感を得たい」という本能を満足させることができず、心理的、精神的な「欲求不満」に陥ってしまうはずです。
近年、歯周病と虫歯に対する治療技術は大きく進歩しました。とくに歯周病については適切な治療後の管理により健康な状態を長期にわたり維持できるようになりました。しかしそのためには、歯周病治療についての正しい知識を得ることが大切です。

 

楽しい食生活こそ、豊かな人生を送るための必須条件です。「歯ごたえ」は物を噛むことにより感じることができます。「味文化」「お袋の味」という言葉が示すように、日本には食事や味に根ざした古くからの誇るべき文化や伝統があります。
「口の中に生えてきたすべての歯は、他の臓器とともに生涯機能し続けるものである」という点をご認識いただき、今後、お口の健康に留意され末永く食生活を楽しまれると共に、健康で豊かな人生を自ら勝ち取っていただきたいと願っています。

Select

治療法の選択
入れ歯とブリッジとインプラント

欠損部の治療法の種類と選定

歯を失ってしまったら必ず歯のない部分(欠損部)に人工的に歯を入れ、噛む機能と発音機能、審美的な改善が必要になります。 人工的に欠損部の回復をはかるためには

  1. 入れ歯
  2. ブリッジ
  3. インプラント

の中から選択することになります。

そこでいずれの治療法を選択するかについては、

  1. 欠損している部位
  2. 欠損部分の周囲の天然歯の状態
  3. 患者さんの希望や経済性

などのご自身の背景を考慮することが大切です。

他方、入れ歯、ブリッジ、インプラントの各々の治療法や治療が終了してからの機能的な特徴、さらに治療後の健康維持のための管理などを十分理解し、その上でご自身にとっての価値などをしっかり認識することが極めて重要なことと言えます。

Best

よい入れ歯とは

 入れ歯そのものは技工物であり、人間にとっては異物にほかなりません。人間は基本的に生体に害を及ぼすものに対しては異物排除の機能を持っています。
ただ、入れ歯は生体に害を及ぼすバイ菌などとは違いますから、自分に必要なものだとして使用することで自然となじんできます。いかに入れ歯をかわいがってやれるかが最も大切なことと考えています。

1.痛くない

入れ歯を入れる時ぎくしゃくしないでスムーズに入り、口の中でこぢんまりと収まる。痛みのない収まりのよい状態がまず上げられます。

 

2.違和感が少ない

入れ歯を始めて装着した時にはどなたでも違和感を感じます。それでも、入れ歯を入れた時に口の中で落ち着きがある。ちょうど茶筒の蓋をしめた時にすーっと吸い付くように収まるような感覚です。入れ歯の底と口の中の床がマッチしていれば自然と違和感は薄らぎます。

 

3.噛み合わせがよい

人間は上下の歯を咬み合わせようとした時に、必ず全ての歯が平均してあたることを求めています。すなわち上下の歯の調和です。噛み合わせがわるく1本または数本の歯だけがあたっている状態は、ちょうどつま先立ちをしているようなものです。つまり一部分に余分な力がかかっている状態です。つま先立ちの状態からかかとをつけて初めて安定感、安心感、満足感が得られます。それが人間本来の生体としてのあるべき姿を求める元来の性質です。
その余分な力が加わった歯には、様々な障害が生じます。骨が溶けたり、歯がずれたり、そのままの状態にしておくとやがて歯周病になってしまいます。

入れ歯の場合には、その一部の歯にかかった負担は入れ歯全体に及びます。その負担は入れ歯全体に力がかかり歯槽堤(歯が抜けてしまったあとの土手のようになった部分)にも障害が起こります。一部にかかった大きな力は歯の骨を溶かしてしまうことにもなります。

 

4.審美的である

入れ歯はワイヤーがあったり見た目が気になるものです。正面から見て目立つ部分は針金を隠したり細くすることで、出来るだけ目立たないようにすることが大切と考えます。

 

5.発音に支障が少ない

入れ歯を入れると発音がしにくくなる場合があります。しかし、お口にあった適切な入れ歯であれば徐々に慣れます。

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噛み合わせ、咀嚼、顎関節

噛み合わせと顎関節症

 「よい入れ歯とは」の項目でよい入れ歯の噛み合わせについてご説明しましたが、噛み合わせと関連して顎関節(顎の骨の付け根の関節)が正常に機能していることが大切です。噛み合わせ、顎関節が正常に機能していないと、食事などへの不具合だけでなく、頭痛や肩こり、さらには精神的な不安定などにも及ぶことが報告されています。

関節の中心で正常に動き、噛み合うようにセッティングされていないと、顎の筋肉で無理に噛み合わせようとして関節にずれが出たりします。噛み合わせを行った場合にきちんと関節の中心で動いていることがベストです。顎の力を抜いた状態で動かしてみて自然と噛み合うかどうか、顎関節の中心で顎が動いているかどうかを確認して噛み合わせを決定します。

咀嚼と記憶

 咀嚼とは、物を噛んで食べることです。咀嚼をすることで血液の循環がよくなり脳の働きもよくなります。顎や舌を動かす筋肉が頭部にあって力強く収縮するため、頭部への血液循環がよくなります。また、咀嚼すると脳内にいろいろな脳ホルモンが分泌され、脳内の記憶脳細胞の働きが盛んになります。
よく噛んで食事をすることで、脳の働きが活発になり記憶の向上や、また認知症の予防になるという実験結果も発表されています。

Popular

一般的な入れ歯の治療例

入れ歯治療を成功に導くための条件は、

 

  1. 欠損部位
  2. 残存歯(天然歯)の部位と骨量
  3. 上下の噛み合わせの関係
  4. 患者さんが入れ歯を受け入れるための認識

 

など多くの情報を詳細に調べ、それを分析し、そして各々の症例に対して最適な入れ歯の設計を考案することです。

 

入れ歯治療の最大の指標は、入れ歯を入れて良かったと思ってもらえることでしょう。この指標を達成するためには、違和感がない、噛んでも痛くない、口の中にすんなり収まっている、即ち決して手放せない、生きた臓器のようだ、だから入れて良かった、に尽きるでしょう。
そこでこの指標を目指して色々な種類の入れ歯治療使用例を提示します。

1day

1日で出来る入れ歯とは

 重症の歯周病、虫歯などで抜歯しなければならない場合、通常は抜歯後1~2ヶ月後に入れ歯の型をとり入れ歯を作成し、そして入れ歯を口腔内に装着します。この場合一定の期間、歯のない生活をしなければなりません。
 そこで、この対応策としては抜歯する前に型を採り、前もって入れ歯を作成しておき抜歯後、直ちに入れ歯を装着します。このような場合は入れ歯の種類、入れ歯の作成工程などにより作成時間が異なります。これに関しては、各々のお口の状態を調べたうえで判断します。
 この治療を行うにあたり、最も画期的なことは、即日入れ歯が装着され、そして痛みがない、食事ができ、審美的な回復、さらに若さ、容姿をとり戻せるということです。
そして私の期待は入れ歯を入れて良かった、食生活が楽しい、会話もつい弾んでしまうなど豊かな人生を歩むうえでの礎になればと願っています。

Heavy

重症な歯周病と入れ歯

 重症な歯周病により全ての歯、或は殆んどの歯を抜かなければならないような場合、通常は総入れ歯、或は大きい部分入れ歯が適用されます。そして、いずれを選択するかは、各々の歯根の周囲に残っている骨の量、歯の動きの程度、歯の位置異常、そして歯の傾斜などの病態(病的に変化した状況)により決まります。さらに、術者としての私が、とくに注目したいことがあります。それは、現在の上下の咬み合わせが上下・前後・左右(横)の関係が、患者さんご自身にとって適しているかどうかということです。即ち、上下の歯の咬み合せが顎関節と適切に調和しているかどうかということです。

 

 もし、この両者の関係が適切であれば、それを入れ歯に移行することで好ましい咬み合わせが構築されることになり、よい入れ歯が装着されることになります。尚、上記の両者にずれが認められる場合は新たに好ましい関係に導くことになります。

 

Special

特殊な入れ歯

 どのようなタイプの入れ歯を考案するについては、残っている歯の数、歯の動きの程度、残っている歯の位置、残すことのできない歯、審美的な要素そして患者さんの希望や経済性などの様々な状況により決められます。このように、いかに複雑な状況であっても、歯と入れ歯を一体化するように設計することが鍵となります。即ち、咬んだとき入れ歯も歯も動かないことが、よい入れ歯の条件となるわけです。

problem

入れ歯の問題点など

メインテナンス

 残っている歯がさらに少なくなると入れ歯も増やさなければなりません。入れ歯自体のメインテナンスもありますが、残っている歯のメインテナンスが大切です。歯槽堤は、日常、入れ歯に加わる力や年齢などによって徐々に変化します。 診療所で定期的な検診を約3ヵ月に一度受けることで、入れ歯、残された歯、歯槽堤などお口の中の状態をチェックし、同時に清掃をすることで健全な状態が維持されます。なお、入れ歯がお口に合っていれば安定剤などは必要ありません。また、日常生活の中では通常の歯磨きなどを行っていただければ大丈夫です。

耐久性

 入れ歯自体に問題点があるとそれが原因で入れ歯自体にも問題を生じ、耐久性にも影響します。よい入れ歯の条件を満たしていれば長期にわたって入れ歯を使用できます。
材質では一般にプラスチックよりも金属製の方が耐久性は高くなります。

口内炎

 口内炎の出来やすい人がいらっしゃいます。口内炎はお口の中の細菌が1カ所にとどまることで口内炎になります。どなたでもお口の中には細菌がいて乾燥することで細菌が1カ所にとどまり繁殖します。口呼吸が多いなどで正常な唾液の分泌がされなくて口内炎が出来た場合には、うがいをしたりして出来る限り乾燥を防ぐことで予防します。

Technician

歯科技工士の仕事

メインテナンス

 患者さん、そして歯科医と歯科技工士が1つの目的のために同じ考えで入れ歯を制作して、初めてよい入れ歯が出来上がります。歯科医による患者さんのお口の中の状態を把握、設計し、それを歯科技工士が適切に把握して制作できる。共にプロフェッショナルとしての高いレベルと責任の元に、患者さんが満足できる入れ歯が仕上がります。

入れ歯の設計と製作

 入れ歯と歯槽堤とが接触する面積を大きくすれば入れ歯は安定します。ただし、入れ歯自体の床が大きくなり違和感が大きくなります。逆に入れ歯の床を小さくすると安定度は落ちてきます。入れ歯と歯を失ったあとの歯槽堤とのフィットがよければ密着度は上がり、より床の小さな入れ歯で安定が得られるわけです。
そのためにお口の中の状態、残っている歯や歯槽堤などの状態に応じて、適切な入れ歯の設計が重要になります。
そして、それを形にするのが歯科技工士の仕事になります。